■生活保護申請・不支給決定時の再審査請求

生活保護とは


生存権として日本国憲法第25条に定められている規定で、条文は下記の通りです。


日本国憲法
第二十五条(生存権) 
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


国は国民に対し、上記のような義務を負っています。
これはあくまでも、人それぞれに事情があり、勤労の義務などを果たすことが出来ず、生活に困窮するかたに対し、その困窮の程度に応じて
必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、そのかたの自立を助長することを目的としています。


国民とは日本国民のことを指し、日本国民であると言うことは日本国籍を有すると言う事になります。
表現が抽象的な部分が多々あり、解釈に悩まれるかたも多いと思います。
実際の運用は、全国にある地方自治体の裁量によるところが大きく、自治体ごとに細かい解釈は異なります。
例えば、在留許可を取得し日本国内に居住している外国籍のかたは日本国籍に該当しませんので、生活保護の対象外と言う事になりますが、
実際の運用では人権保護の観点から支給されている自治体が多いのが現状です。



相談と申請窓口

生活保護の相談および申請窓口は、現在お住いの地域を所轄する福祉事務所の生活保護担当となります。
兵庫県内にある福祉事務所の住所および連絡先は下記をクリックして下さい。
兵庫県内福祉事務所一覧



生活保護の受給要件

➀生活保護の世帯とは
生活保護の収入算定は世帯単位で行われます。そのため世帯全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提となりますので世帯単位で一定の収入が発生している世帯は生活保護が必要とされる世帯とは認められません。
また、近隣にそのかたを扶養することが可能な親族がいる場合、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先しますので生活保護の受給要件にあてはまりません。


②資産の活用
預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等の資産があれば、まずその資産を売却するなどし生活費にあててもらうことになりますので、世帯単位で一定の資産をお持ちの場合は生活保護の受給要件に当てはまりません。


③能力の活用
働くことが可能なかたは、その能力に応じ勤労の義務を果たすことが前提となりますので、受給対象外となります。あくまでも様々な正当な事由から、働くことが出来ず、生活が困窮することが明白なかたに対し国が健康で文化的な最低限の生活を営む権利を保障する制度となります。


④その他あらゆるものの活用
年金や手当などの他制度が受給可能なかたは、まずそちらを優先して活用してもらうことになります。


⑤扶養義務者の扶養
親族等から援助を受けることが可能な場合、まずその援助を受けてください。
そのうえで、世帯収入と厚生労働大臣が定める基準に沿い計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、生活保護が適応されます。


最低生活費-世帯収入=保護支給額




生活保護の内容



コピペ 弁護士 谷 次郎


日本国憲法第25条に記載されている、いわゆる「生存権」に基づいて設けられた生活保護ですが、申請したとしても、時に却下されてしまう場合があります。


このページでは、生活保護の申請が却下された場合に、訴訟を起こすために行うことをご紹介します。


まずは審査請求を行う
生活保護の申請をする際、多くの場合、市役所の中にある福祉事務所に申請しているかと思います。


申請後、原則14日以内に福祉事務所から生活保護の開始決定または却下決定かの通知が来ることになっています。


この決定のことを法律の世界では「処分」といいますが、この「処分」に不服がある場合は審査請求を行い、取り消しを求めることが可能です。




今回の例では、却下決定という処分が通知され、これを知った日の翌日から数えて3ヶ月以内、もしくは却下決定という処分が出た日の翌日から数えて1年以内に、不服であると主張することになります。




この審査請求はどのように行うのかについてですが、基本的には都道府県知事に対して、審査請求書という書面を提出することになっています。


審査請求書が提出された後、審理を行い、都道府県知事は福祉事務所が出した却下決定が正当なものなのかどうかの裁決を出します。


都道府県知事の裁決の内容に不服がある場合はどうする?
審査請求を行い、都道府県知事が出した裁決について不服がある場合は、厚生労働大臣に再審査請求をすることができます。


再審査請求ができる期間は、都道府県知事対する審査請求の裁決があったことを知った日の翌日から数えて1ヶ月以内、もしくは都道府県知事対する審査請求の裁決があった日の翌日から数えて1年以内と決められています。




再審査請求のやり方は、1回目の審査請求のやり方に倣って行います。


再審査請求の結果でも不服の場合は裁判所の判断を仰ぐ
厚生労働大臣に再審査請求をした結果、生活保護の却下決定を取り消すことができなかった場合は、裁判所に訴えを起こし(訴訟を起こし)、生活保護の却下決定という処分が正当なものなのかを判断してもらいます。




そもそも、いきなり裁判で生活保護の却下決定の取り消しを求めることができないのかという疑問を持っている方もいるでしょう。




この点、生活保護に関する「処分」について不服がある場合は、審査請求をして裁決を経てからでないと裁判所に訴えを起こすことができないと生活保護法第69条にあるため、前述の審査請求や再審査請求をまずは行うということになります。




生活保護の却下決定を取り消す訴え(取消訴訟といいます)を起こす場合は、都道府県知事、もしくは厚生労働大臣の裁決があったことを知った日から6ヶ月以内に訴訟を起こす必要があります。


行政訴訟は弁護士 谷 次郎(冠木克彦法律事務所)にご相談ください
今回は生活保護の申請が却下された際に訴訟を起こすための手順についてご紹介しました。


冠木克彦法律事務所では、生活保護以外にも、行政全般のご相談を承っております。


お困りの際は、一度当事務所にご相談ください。