再生可能エネルギー(再エネ)を、電力会社があらかじめ決められた価格で買い取る「固定価格買取制度」(FIT)
FITは、太陽光発電など再エネの拡大に役立ってきましたが、2009年11月から始まった太陽光発電の余剰電力買取制度では買取期間の満了をむかえる太陽光発電が出始めます。
買取期間が満了するとどうなるのか、またどのような対応をすればいいのか整理してみました。
すでに導入している方にとってはFIT制度の適用期間が過ぎた「卒FIT」後の対応も気になるところだと思います。
また、2025年10月以降、10kW未満の住宅用FITは買取単価が導入後1~4年と5~10年で変化する「初期投資支援スキーム」へ移行しています。
それでは、太陽光発電買取制度の概要とFIT期間中に生じた変更に対する手続内容をご説明していきます。
不動産事業者様から屋根に太陽パネルが設置された住宅の売買に関するお問い合せも多くいただいております。
そう言った場合の手続きなどもご案内してまいりますのでご一読いただければと思います。
行政書士または行政書士法人でない者が、業として他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類を作成することは行政書士法違反となります。
FIT期間とは
FIT(固定価格買取制度)期間とは、再生可能エネルギーで発電した電気を国が定めた固定価格で電力会社に買い取ってもらうことが保証される期間のことです。
買取期間の長さ
住宅用(10kW未満):10年間
産業用(10kW以上):20年間
卒FIT期間とは
卒FIT(そつフィット)とは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)で定められた買取期間が満了(卒業)することです。
FIT期間から卒FIT期間までの流れ
| 新規認定申請 発電開始 | ||
| ▼ | ||
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FIT期間中 |
総出力10kW未満 |
住宅用太陽光発電に分類され、国が定めた固定価格買取期間は10年間です。 |
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総出力10kW以上 |
総出力10kW以上の設備は産業用太陽光発電に分類され、国が定めた固定価格買取 |
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| ▼ | ||
|
➀変更認定申請 |
認定を受けた事業計画に変更が生じる・生じた場合は、 |
↑ |
| ▼ | ||
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10年または20年で |
||
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卒FIT期間 ④卒FIT事前変更届出 |
FIT期間満了後は自動的に卒FIT期間 |
FIT期間終了後の期間を卒FIT期間と言います。卒FIT期間になると固定買取価格ではなくなる |
FIT期間終了後の期間を卒FIT期間と言います。卒FIT期間になると固定買取価格ではなくなるため一般的に電力買取価格は下がります。
兵庫県内では電力買取事業者が25社あり、資源エネルギー庁のHP「売電できる事業者」で全国の買取事業者を確認することが出来ます。各社、買取価格などが異なるためご自身に合った事業者でご契約されたらと思います。電力買取事業者の変更を行わないときは、兵庫県内の場合、関西電力送配電に自動的に契約が引き継がれます。
また、FIT→卒FITのタイミングで蓄電池を設置し、電力契約を全量買取から余剰電力に変更されるかたも多くいらっしゃると思います。このような場合は下表④卒FIT事前変更手続を行う必要があります。
卒FIT移行後も次のような変更が生じた場合、お手続きが必要となります。
・事業譲渡(生前贈与含む)
・会社分割・合併
・競売物件による事業者変更
・地番の追加・削除
・移設
・市町村合併の場合の住所変更
・事業区域の面積
・太陽光発電設備の設置形態(屋根設置と地上設置の別)
・太陽電池に係る事項
・自家発電設備等の設置の有無 エネファームなど
・電気事業者への電気供給量の計測方法
FIT期間・卒FIT期間中の変更原因と必要な手続
| ➀変更認定申請 | ➁事前変更届出 | ③事後変更届出 | ④卒FIT事前変更届出 |
| FIT期間中 | FIT期間中 | FIT期間中 | 卒FIT期間中 |
|
【変更原因】 |
【変更原因】 |
【変更原因】 |
【変更原因】 |
|
1,基礎情報届出 10kW未満 不要 |
1,事前変更届出 |
1,事後変更届出 | 1,卒FIT事前変更届出 |
| ▼ | ▼ | ▼ | ▼ |
|
2,変更認定申請 ②(法人の場合)双方の履歴事項全部証明書 ③契約当事者双方の印鑑証明書 ④土地の取得を証する書類等 ⑤裁判所による破産管財人証明書(破産による譲渡の場 ⑥事業実施体制図⑦関係法令手続状況報告書 ※太陽光パネルは、建物附属設備として認められているも |
2,ア、書面審査 ➀屋根設置 ➁地上設置 |
2,ア、書面審査 |
2,卒FIT事前変更届出 ②(法人の場合)双方の履歴事項全部証明書 ③契約当事者双方の印鑑証明書 ④土地の取得を証する書類等 |
| ▼ | ▼ | ▼ | ▼ |
| 3,認定の通知 | 3,受理通知 | 3,受理通知 | 3,受理通知 |
| ▼ | ▼ | ▼ | ▼ |
| 4,電力契約名義変更 変更認定済必須 | 4,お手続完了 | 4,お手続完了 | 4,お手続完了 |
| ▼ | |||
| 5,お手続完了 |
FIT期間中に太陽光発電付き住宅を売却する際は、土地・建物の所有権移転とは別に、国(経済産業省)の代行申請機関ジェピアへのFIT(固定価格買取制度)の事業計画「名義変更(変更認定申請)」と電力会社への売電契約の名義変更手続きが必要です。
卒FIT期間中に売却する際は、「名義変更(卒FIT事前変更届出)」と電力会社への売買契約の名義変更手続きが必要となります。
尚、手続をするにあたり、設備IDとパスワードが必要になりますが、パスワードはお忘れになっているかたが非常に多いように思います。この場合は変更手続きを行う前にID・パスワードの照会が必要となります。
| 売買の時期 | 必要な手続 | 転売時の手続き |
| FIT期間中 | 名義変更 変更認定申請 | 名義変更 変更認定申請 |
|
買取時 FIT期間 |
名義変更 変更認定申請 | 名義変更 卒FIT事前変更手続 |
| 卒FIT期間中 | 名義変更 卒FIT事前変更手続 | 名義変更 卒FIT事前変更手続 |
お引受可能なお手続について
| 手続内容 | 出力数 | 形態 | 手続難易度 | お引受について |
| ➀変更認定申請 | 50kW以上 |
屋根・地上 |
難しい |
ヒアリング後 |
| 10kW以上~50kW未満 |
屋根・地上 |
▼ | お引受可能 | |
| 10kW以上 | 屋根設置 | ▼ | ||
| 10kW未満 | 屋根設置 | ▼ | ||
| ➁事前変更届出 | ▼ | |||
| ③事後変更届出 | ▼ | |||
| ④卒FIT事前変更届出 | ▼ |
住宅用の一部、店舗併用住宅を除く10kW以上50kW未満の低要綱発電設備を設置する事業者に対し基礎情報届出を求める、新制度「基礎情報届出」が令和5年(2023年)3月20日施行されました。新制度では電気事業法に基づき経済産業省へ「基礎情報届出」が義務付けられ、設備使用開始前に「使用前自己確認結果」も届出が必要となります。
保安規定の届出や主任技術者の専任は免除されますが、技術基準適合義務と事故報告義務があり、「保安ネットポータル」からオンライン等で手続きを行うことが出来ます。
例えば10kW以上設備の名義を変えたい場合、変更認定申請を行う前に電気工作物設置者を新名義人に変更する届出が必要になります。また基礎情報届出新制度施行以前の既存設備にも新制度が適応されるため注意が必要です。
10kW以上の設備で変更認定申請を行う場合、コチラの書面の添付が求められます。
経済産業省ホームページ
高圧・低圧について
|
高圧 |
低圧 |
|
| 電気工作物の位置付け | 事業用電気工作物 | 事業用電気工作物 |
| 事前規制 |
2,000kW以上 |
10kW以上50kW未満 |
|
事後規制 |
あり |
あり |
| 電気主任技術者の選任 | 必要 | 不要 |
| 保安管理 | 保安規程に基づき、主任技術者が管理 |
「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」に基づき、 |
| 分割案件とは |
下記の設備は分割設置されている場合でも1つの設備とみなされ、 1,高圧分割 分割案件とは |
|
太陽光発電のFIT/FIP認定において計画の重要な事項を変更(変更認定申請)する場合、原則として申請の3ヶ月前までに住民説明会または事前周知措置の実施が必要です。
【説明会や事前周知措置が不要となる場合】
1,出力10kW未満の太陽光発電(住宅用)
2,海洋再エネ整備法の適用事業
3,屋根設置太陽光発電事業
【説明会や事前周知措置が必要となる場合】
〈地上設置〉
1,認定事業者の変更(事業譲渡、合併、会社分割、株式・持分譲渡など)
2,認定事業者の密接関係者の変更発電設備の設置場所・地番の変更(削除含む)
〈屋根設置〉
3,10kW以上の設備で認定に必要な下記ア~エの書類すべてを提出できないもの。
ア.建物表題登記の登記事項証明書
イ.建築基準法に基づく検査済証の写し
ウ.使用前自己確認届出
※2023年3月20日より前に運転開始した500kW未満の設備を除く。
エ.太陽電池の全てが屋根に設けられていることを示す写真・図面
ア~エのすべての書類を提出できる場合は事前周知措置を実施する必要はありません。
【説明会又は事前周知措置を実施すべき再エネ発電事業の範囲】

引用元:資源エネルギー庁
〈注意点〉
住宅の屋根に設置された太陽光発電の変更認定申請は説明会/事前周知措置を必要としない場合が多いですが、それは求められているすべての書面を提出できる場合に限られます。
下記イ.エ.の二点は注意する必要があります。
イ.建築基準法に基づく検査済証の写し
カーポート等の屋根設置、設備所在地が都市計画区域外の場合、建築基準法に基づく検査済証がない場合が多くあります。
この場合、イ.を提出できない場合に該当し、事前周知措置の実施が義務付けられます。
エ.太陽電池の全てが屋根に設けられていることを示す写真・図面
図面(水平投影図)は設計図面として、住宅メーカーがそもそも作成していない場合が多く、この場合ご自身で図面作成する必要があります。
事前周知措置・説明会の概要
| 事前周知措置 | 説明会 |
|
① 再エネ発電事業を実施する場所(以下「実施場所」という。)の敷地境界線からの水平距離が、 (ⅰ)低圧電源の場合:100m ② 再エネ発電事業の実施場所に隣接する土地又はその上にある建物を所有する者(以下「土地/ ③ 「周辺地域の住民」の範囲について、再エネ発電事業の実施場所が属する市町村に事前相談を ④ ③の相談に対して、市町村から、再エネ発電事業の実施場所が近接する他の市町村にも「周辺 |
説明会等を実施すべき再エネ発電事業の範囲 (ⅰ)出力が10kW未満の太陽光発電事業(住宅用太陽光発電事業) ② 屋根設置太陽光発電事業を実施する場合には、事業の影響と予防措置 |
|
【解説】 ①の範囲内に居住者が存在しないことを確認し、かつ、③及び④の市町村に対する事前相談の結果、 |
【解説】 ① 説明会等を実施すべき再エネ発電事業の範囲(前記1.)に該当する電 ② 説明会等を実施すべき再エネ発電事業の範囲(前記1.)に該当し、かつ、 ③ 説明会等を実施すべき再エネ発電事業の範囲(前記1.)に該当し、かつ、 ④ 説明会等を実施すべき再エネ発電事業の範囲(前記1.)に該当し、かつ、 ⑤ 説明会等の実施が必要な再エネ発電事業の範囲(前記1.)に該当する場合で |
【事前周知措置・説明会から申請まで】

引用元:資源エネルギー庁
事前周知措置または説明会の実施が求められる変更認定申請では、お手続きのお引受から認定されるまでに6ヶ月以上の期間を要するケースが多くあります。
例えば、FIT期間中の売買による事業譲渡の場合、 設備譲渡後も電力契約の名義人は譲渡人(旧所有者)のままということになりますので、売電料金は名義が変わるまでのあいだ譲渡人(旧所有者)に送金されます。お取引をされる際は当事者間でお話されたほうがよいのではないかと思います。
また、売買による変更認定申請は通年申請できるわけではありません。
売買による変更認定
| 申請可能 | 毎年 4月中旬~12月中旬 |
| 申請不可 | 毎年12月中旬~ 4月中旬 |
申請不可期間に事前周知措置や説明会の実施を行なうことは可能ですが、毎年4月以降に改定され年々厳格化されるガイドラインに則した実施内容でなければなりません。
そのため申請可能な期間をよく確認しながら進める必要があります。
10kW以上の変更認定申請では関係法令手続状況報告書の添付が義務付けられ、下記1.~21.に列挙された法令へ該当設備が適合していることが求められます。

引用元:JPEA代行申請センター(JP-AC)
説明会または事前周知措置実施の判断
設置形態認可要件認可要件の注意点 屋根設置 10kW以上
➀屋根設置 ・・・10kW以上の屋根設置太陽光発電事業
(2023年10月以降の屋根設置価格適用設備、設備IDの頭文字が6・8)
※屋根設置価格適用・・・参考資料:第85回 調達価格等算定委員会 資料1
➁屋根設置太陽光の買取区分が設定された2023年10月1日より前に認定を受けた10kW以上50kW未
満の太陽光発電事業で説明会等が必要な変更認定申請を行う際に、屋根設置区分の認定に必要な下記
ア~エの書類がすべて提出できるもの。
ア.建物表題登記の登記事項証明書
イ.建築基準法に基づく検査済証の写し
ウ.使用前自己確認届出 ※2023年3月20日より前に運転開始した
500kW未満の設備を除く。
エ.太陽電池の全てが屋根に設けられていることを示す写真・図面
ア~エのすべての書類を提出できる場合は事前周知措置を実施する必要はありません。
そのうえで求められている証明書類をすべて準備し、電子申請を行います。
イ.建築基準法に基づく検査済証の写し
カーポート等の屋根設置、設備所在地が都市計画区域外の場合
検査済証がない場合が多くあります。この場合、イ.を提出できない場合に該当し、
事前周知措置の実施が義務付けられます。
エ.太陽電池の全てが屋根に設けられていることを示す写真・図面図面(水平投影図)
は設計図面として、住宅メーカーがそもそも作成していない場合が多く、この場合ご
自身で作成する必要があります。
設置形態 認可要件 地上設置 10kW以上 説明会または事前周知措置を行う必要があります。 個別にヒアリングします 地上設置 50kW以上 説明会または事前周知措置を行う必要があります。 個別にヒアリングします。
情報照会・基礎情報届出
| 期間 | 手続き |
報酬額 |
| 共通 |
設備ID |
11,000円 変更手続と併せてご依頼時 |
| 共通 |
基礎情報届出 10kW以上 |
譲渡人、譲受人 各 22,000円 |
| 共通 | 電力契約・口座変更手続 | 11,000円 |
変更手続
| 卒FIT期間 | 出力 | 設置形態 | 変更原因 | 報酬額(税込) |
| 卒FIT事後変更届出 | 10kW未満 | 屋根 |
売買相続 |
33,000円~ |
| 〃 | 10kW以上 | 屋根 |
売買相続 |
別途御見積 |
| 〃 | 10kW以上 | 屋根 |
その他 |
別途御見積 |
| FIT期間 | 出力 | 設置形態 | 変更原因 | 報酬額(税込) |
| 変更認定申請 | 10kW未満 | 屋根 |
売買 |
変更認定申請 66,000円~ |
| 事後変更届出 | 〃 | 屋根 |
相続 |
事後変更届出 55,000円~ |
| 変更認定申請 | 10kW以上 | 屋根 |
売買 |
変更認定申請 110,000円~ |
| 事後変更届出 | 〃 | 地上 |
相続 |
事後変更届出 55,000円~ |
| 変更認定申請 | 〃 | 共通 |
売買 |
変更認定申請 別途見積 |
| 変更認定申請 | 〃 | 共通 |
売買 |
変更認定申請 別途見積 |
| 事後変更届出 | 〃 | 共通 |
役員変更など |
事後変更届出 55,000円~ |
| 事前変更届出 | 〃 |
その他 |
別途見積 |
※報酬の他に公的書類発行料金、交通費などが別途発生する場合があります。事前周知措置、説明会実施時
※行政書士または行政書士法人でない者が、業として他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類を作成することは行政書士法違反となります。
FIT期間中の変更認定申請は認定要件が年々厳格化される方向にありますのでお困りのかたもいらっしゃると思います。
卒FIT期間になると、名義変更も認定から届出に変更されるため要件は大幅に緩和されます。期間を再考し卒FIT期間に入ってからの名義変更をお考えのかたもいらっしゃるのではないでしょうか?
当事務所は令和8年に入り事前周知措置を必要とする10kW~50kWのFIT期間変更認定申請・卒FIT事前変更届出の実績が複数ございますので、相続でお困りのかた、アウトソーシングをお考えの事業者様など太陽光発電設備のあらゆるお手続きのご相談を承っております。お気軽にお問合せください。
(初回相談料無料)(全国対応可)
